昔働いていた中野のパチンコ店
20代の頃、東京で音楽バンドをやっていました。
その際にバイトを始めたパチンコ店。同機は単純。時給が良いから…。
音楽を中心に生活していたのでなるべく時給がいいところで働きたかったということもありつつ、自分も好きだったので「ま、ここでいっか?」ぐらいの気持ちで働き始めました。
しかしパチンコはプレイヤーとしてやる側とお店側では全く違う。
20年前…会社自体が無くなった+もはや時効かな?ということでパチンコ店の裏事情を赤裸々にお伝えしようと思います。
最強の現金商売
最初はバイトで入ったパチンコ店。
まぁまぁ何をやってもそこそこ渡り歩ける僕は気が付けば社員登用されていました。
更に当時は音楽が中心だったということもあり、自分でシフトを操れる社員は好都合でした。
しかし、パチンコ店というのは面白いところで、僕を成長させてくれた場でもあります。
なにせ客層が悪い、いや、悪すぎる!普通の人が「良い人」に見える。良い人は「神」に見える。それぐらい毎日なんかしらのトラブルだらけ。
しかも理由は大抵が理不尽。
「負けたから金返せ」とかいうクレーム対応はしょっちゅうありましたし、ゴト師と呼ばれる不正を働く輩との対決も頻繁にありました。
ヤクザは来るはゴト師は来るわで毎日がハードボイルド。
おかげさまでメンタルは鍛えられましたが…。
しかも社員になると「現金」を扱うようになるんです。
10年ぐらいパチンコ店には行ってないので今はどうか分かりませんが、当時は完全に現金商売。売上と粗利が当日に分かるんです。
こんな商売なかなかないですよね。
その当時は大体1日の売り上げは2,000万ほどで粗利は15%の300万程度。
となると毎日両替機へ千円札を補充しなければならないんです。
最初はこれがまぁまぁ怖い。
イチ両替機に千円札を千枚ぐらい入れるためにバックに大量の千円札を持って歩く。
開店前はお客様がいないので楽勝ですが、営業中にもやらなきゃ足りなくなるんです。
勝ってるお客様はニコニコですが、ほとんどのお客様が負けるように出来てますので、溜まりに溜まった万札を回収し千円札を補充する。
両替機の隣のお客様からは毎回ギロって睨まれる。
「俺何も悪いことしてないのにな~」って毎日思ってましたが、感覚というのはマヒするもので、慣れてしまえば何も感じなくなってしまっていました。
ゴト師との対決
ゴト師…。それは不正をはたらく輩。そして突然やってきます。
無傷なパチンコ店はないんじゃないでしょうか?
やり方は様々。
磁石で球を誘導するような古いタイプのゴト師もいれば、営業中に堂々と台をこじ開けて基盤を裏基盤にすり替える。
裏基盤というのはある特定のやり方をすると当たるというプログラムを仕組まれたもので、一度やられると気づくまでやられたい放題。
しかも実行役と打ち子が違うので、打ち子を捕まえたとてもシラを切られたらそれまで。
警察も因果関係が分からないと逮捕が出来ない。
昔から悪い奴ってのは頭が良いんですよね~。
もっとまともなことに使えばいいのに…って今でも思います。
実際に一番面白かったゴト師との対決を話します。
それは営業中でした。平日の昼間。
今でも鮮明に覚えています。
当時2,000円札というのが出回りました。
しかし、両替機は2,000円札に対応していなかった為、お客様に2,000円札両替してってなるとスタッフが対応しなきゃいけないんです。
そうなると当然スタッフの監視の目が止まる。
そんな時に違和感があったんです。
スタッフ全員が2,000円札の両替を頼まれている。
「ん?」偶然にしてはおかしい。当然僕のところにも見慣れない客が「2,000円両替して」って来ました。
僕は客の声を無視してすぐにインカム(耳に付けている無線機)で事務所に連絡。
「カメラで隅々まで見て!ゴト師が来てるかもしれない」と。
僕の勘は当たりました。ある台を椅子の上に立って上からこじ開けている輩がいると事務所からの報告です。
猛ダッシュで現場に走る僕。僕を捕まえる2,000円札両替男。
「うるさい、触んな〇〇!」と両替男を振りほどき現場に到着すると、明らかに台が空いている。
監視役の男が実行役に告げ、一目散に全員逃げていく。
追いかけて捕まえることも出来ましたが、本社からは「命の危険性があるからゴト師は追いかけるな」という指示が出ていたので追いかけませんでした。
完全にやられたゴト
前述のパターンは未遂で済みましたが、完全にやられたパターンも話します。
スロットというコインを入れて回すゲームがあります。
そしてスロットには設定というものが①から⑥まで6段階あり。「⑥」は超出るという店側である程度コントロールできる仕組みなんです。
普通の店で⑥を使う店はそうありません。
当時の僕は、主任まで昇格してました。お店のナンバー3です。
主任になると設定を考えたり閉店後に打ち換えたりする業務もやります。
もちろん出玉データも各台チェックをして設定を考えます。
凹みすぎてたら設定をあげて、出すぎてたら下げる。
思った通りにはなりませんが、まぁまぁ参考にはなるんです。
特に⑥は別格でほぼ出る。意図的に出したいときは⑥を使う。そんな仕組なんです。
が、ある日設定①の台がやたら出てる。
ま、①でも出る時はあるので「ふ~ん」程度でしたが翌日も出てる。
しかも見慣れない同じ客。
そして3日目、また出てる。今度は違う客。
閉店後設定を確認しましたがやはり①。「気のせいか…」で終わりましたが違和感はありました。そして翌日は休みで休み明けに出勤してデータを見るとまた出てる。
「こりゃおかしい…」
閉店後に台を確認にいく。変なものが付いていないか基盤を確認する。
「ん?なんだこの文字?」違和感に気付き隣の同じ機種と見比べる。
明らかに違う。「やられた裏基盤や!」しかし、いつどうやって…。
20年前の当時でもカメラは録画出来ます。1週間ほど動画を保持できていたので、出だした前あたりから確認するも台を開けられた形跡がない。
なんでや?と思い今一度台を確認する。なんか違和感はないか?と。
すると、台の裏側に四角で切り抜かれた形跡があったんです。
なんやこれ?ってなりますよね。台の後ろは壁でその裏側は外です。
壁でもこじ開けない限り、台の裏側を触ることは出来ません。
台を外すのは面倒なのでビルとビルの隙間を見に行くと、なんと壁ごとくりぬかれ、修復した跡があったんです。
「完全にやられたな」と。
僕のリベンジ
僕はそのことを当時の店長に告げ、リベンジ作戦を考えました。
正規の基盤に取り換えるには警察への届け出がいるので、一旦はそのまま営業を迎えることに。
翌日、そのままの裏基盤でゴト師が来るのを待ち構える僕。
翌朝、見たことない男が迷いもなくその台に座る。
しめしめ…予定通りだ。その台の隣にグループ内の別店舗の社員を座らせ一部始終を監視させる。
どうやらセット打法(通常は左→中→右と押すん)のようで、ある特定の図柄がそろった後に中→右→左で狙っていると。
「ふ~ん、そうやってんのか…」
ここからはメンタル勝負。
僕は現場に行きゴト師の真後ろにず~っと立つ。ひたすら立つ(笑)
「もう分かってんぞ」の無言のハイプレス。
当然気が気でない打ち子。その姿を見てニヤニヤ笑う僕。
「どうかしましたか(笑)?」と声をかけると明らかに焦った顔で退店。
こっちは写真でばっちり顔をおさえ、組合に報告。
近隣全店舗に「危険人物」という情報を回す。
数日で50万ほどやられましたが、そんな貴重な体験をさせてもらいました。
悪い奴は頭いいんだなってことを痛感させられたいい経験です。
パチンコ店が与えてくれたもの
クレーマー、ゴト師、ヤクザ…。
ほぼ毎日が輩との対決。
「こっちは客だぞ」とすごぶる輩に対し、僕はパチンコ店が持っている唯一の法「出入禁止」を言い渡す。
「当店は貴方をお客様として認めないので今後一切の出入りを禁止します。次に一歩でも当店の敷地に入ったら不法侵入として警察呼びます」で終了。
そんなハードボイルドな毎日を10年ほど勤め、僕はBtoBの世界へと飛び込みました。
BtoBの世界は夢のようでした。
こんなに良い人ばっかりなんだ!と。
よくよく考えるとそれもそのはず。BtoBは会社という看板を背負ってますから、僕が毎日相手をしてたクレーマーとは質が違いすぎる。
断られても断られても「めっちゃいい人や~」って本気で思ってたので、ことあるごとに挨拶に行く。仕事にならないって分かってても行く。
次第に仲良くなっていく。そして友達になる。
こうなると向こうも人間。なにか仕事あげないとな~ってなってくるんです。
そうやって次々と顧客を増やしていきました。
それもこれもパチンコ店でメンタルを鍛えられたからです。
ついでに嫁とも出会え、今は4人の子宝に恵まれています。
最悪な環境でメンタルを鍛えられ嫁にも会えた。
そう考えると「感謝」しかないです。
皆さんも採用の際に「体育会系」とかには期待したりしますよね。
僕も同じですが、プラスで「パチンコ店」の経験者は優遇します。
どちらも「理不尽」に耐えてきた経験があるからです。
パチンコ店経験者には期待していいと思いますよ。